養育費は自己破産しても免責にならないって本当?

自己破産をすれば、借金の返済義務はなくなり、お金に不安を抱える必要がなくなります。

しかし、それはあくまでも借金での話で、養育費はその義務が消えることはありません。

今回は、自己破産と養育費の関係について詳しく解説していきたいと思います。

養育費は自己破産しても支払い義務が残る

養育費は、親として子どもに果たす当然の義務です。このため、自己破産時に養育費が免責になることはありません

借金のように、返済できないから自己破産して解決するといった方法はできないので、注意が必要です。

以下について、それぞれ解説していきます。

養育費は破産法上の非免責債権に当たる

自己破産をすると、借金をゼロすることができ、債務者はそれまでの借金に対する支払いの義務が一切なくなります。

しかし、それはあくまでも免責債権に当たる借金が対象となり、一部の債権については対象外となります。

具体的に挙げると、税金であったり、養育費もこれに当たり、仮に自己破産しても、その支払い義務は消えることはありません。

第一、親として子どもにかける養育費を借金として扱うことに無理がありますよね。

親である以上養育費の支払いは義務と言える

養育費は、その名の通り、子どもの養育にかけるお金になります。

よって、親である以上、その支払いをすることは義務であり、何人もその支払いを怠ってはいけません。

これは、法律でも決まっていることでもあり、人として社会人として当たり前であるという認識をしておきたいですね。

離婚して、子どもと別居したとしても、子どもが20歳になるまで、その成長を見届ける義務は親にはあります。

養育費の回収が困難な場合はある

義務とされていても、実際問題養育費が支払えない人も一定数存在します。

そういった場合は、養育費の減額が認められることがあります。

いくら自己破産の非免責債権で、その強い義務があったとしても、最低限の生活を送れないのであれば、話は変わります。

もちろん、返済能力があって滞納している場合は、給与や銀行口座の差し押さえなど、強制執行の対象となるので注意したいですね。

養育費は免責対象にならないの?

養育費は強い義務が発生し、その支払いを止めることは基本的にできません。

間違っても、養育費を滞納してしまうことは絶対に避けてください。

以下について、それぞれ解説していきます。

養育費は将来分まで給料の半分を差し押さえできる

借金を滞納した場合、最悪給与の差し押さえという強制執行を受ける場合がありますが、この時、差し押さえされる金額は手取り金額の1/4です。

しかし、養育費を滞納した場合の差し押さえできる金額は、手取り金額の1/2となり、一般的な借金よりも、その差し押さえされる金額は大きいことがわかります。

また、養育費が一般的な借金と違う部分は他にもあり、養育費は将来分まで永遠と差し押さえしていくことができます。

滞納分を回収すれば、差し押さえが終了する一般的な借金では、考えられないような仕組みがあります。

自己破産手続き開始後の養育費はどうなるか

自己破産の手続きを始めた後の養育費は、どのような扱いとなるのでしょうか?

養育費は、非免責債権であるので、もちろん自己破産の対象にはなりません。

以下について、それぞれ解説していきます、

破産債権では無く手続き外債権

自己破産には、破産債権の対象とならないものがあるのですが、養育費もその一つです。

そのため、仮に自己破産の手続きを始めた後であっても、養育費の支払いには一切影響を受けることはありません。

なので、養育費が支払えないから自己破産、という理由は使えず、他の借金によって養育費が支払えないから借金を自己破産する、ということになります。

このように、自己破産の手続きの有無に関係なく、これからも養育費を支払う義務が発生しています。

破産手続き中に差し押さえ強制執行も可能

養育費を支払い義務が消えないということは、もちろん強制執行することも可能です。

それが自己破産中であったとしても、親権者には一切関係のない話になります。

支払わなければいけないものを支払わないのですから、当然のことですね。

養育費での差し押さえは、その差し押さえの金額も大きく、将来分の回収もできるので、できれば強制執行の前に解決しておきたいものです。

自己破産時に養育費の滞納があるとどうなる?

自己破産する際に、養育費を滞納している場合、支払い義務が消えるわけではありません。

そして、元配偶者も債権者として扱われることになり、その事実が通知されることになります。

以下について、それぞれ解説していきます。

元配偶者も債権者として扱う必要がある

養育費は、銀行や消費者金融から借りる借金とは性質が違いますが、双方の立場としては同じになります。

そのため、元配偶者も債権者として扱う必要があります。

これは、債務者が支払う必要があるお金ということで、このような扱いになります。

しかし、結果的に元配偶者への支払い義務は、自己破産では消えることはありません。

元配偶者に自己破産することが知られる

元配偶者に内緒で自己破産しても、自己破産の手続きをする際にバレてしまうことになります。

なぜなら、破産手続きにおいては、債権者一覧表を提出する必要があり、養育費もその記載対象となるからです。

この債権者一覧表に記載された債権者には、自己破産した事実が裁判所から通知されます。

そのため、元配偶者に自己破産したことを隠し通すことはできないといえます。

養育費の滞納分の扱いを間違えると偏頗弁済になる

一般的な借金は、自己破産直前に各債権者に債務者への督促をストップさせることができます。

そのため、自己破産の手続きをした時点で、各債権者は債務者から借金の取り立てを行うことはできず、これを偏頗弁済といいます。

しかし、養育費はこの偏頗弁済の対象には含まれず、債務者は自己破産の前後に関係なく、返済する必要があります。

もちろん、多額である場合は問題ですが、許容範囲内であれば、認められています。

養育費の滞納が無い場合はこれまで通り支払いを続ける

上記で、偏頗弁済について触れましたが、養育費は非常に特殊であるといえます。

また、自己破産時に養育費の滞納がない場合は、これまでと同様に返済し続ける必要があります。

このことから、養育費は滞納しようが、しまいが、自己破産しようが、しまいが、全く影響を受けないことがわかります。

それは、養育費が借金とは別枠であること、そして親としても義務であるということが大きいですね。

自己破産して養育費が払えなくなった時はどうしたらいい?

自己破産によって借金の返済義務が消えますが、養育費に関しては、自己破産の対象とはならないので、養育費の負担は変わることはありません。

そのため、自己破産をしても、その他の借金が無くなった余裕はありますが、養育費の支払い自体が無くなることはないです。

以下について、それぞれ解説していきます。

養育費支払いの減額を求める

どうしても養育費の支払いが苦しいのであれば、元配偶者に対して減額を求めることも必要です。

例えば、転職によって以前よりも収入が下がった場合、退職によって無収入となった場合などが挙げられます。

また、親権のない側つまり養育費を支払う側の扶養家族が増えた場合などは、養育費の減額が認められることがあります。

このような減額も可能なので、不安な人は請求することを検討するようにしたいですね。

交渉に応じて貰えない場合は養育費減額請求調停の申し立てをする

あくまでも、養育費の減額または相談は、元配偶者との話し合いになりますが、その結果が不服であれば申立てを行うことができます。

これは、養育費減額請求調停というもので、双方の間には調停委員が介入し、手続きは進みます。

この調停によっても、双方の意見がまとまらなければ、訴訟に発展することになり、時間と費用が発生します。

できれば、訴訟になる前に決着をつけたいところですが、元相続人も養育費については譲れないところはあるでしょう。

養育費を貰う側が自己破産をした場合はどうなる?

ここまで、養育費を渡す側を中心に解説してきましたが、逆に貰う立場にある人が自己破産をすると、どういう扱いになるのでしょうか?

これは、自己破産の前後によって、大きく変わってくることになります。

以下について、それぞれ解説していきます。

自己破産と養育費は全く関係が無い

養育費を支払う側にとってみれば、自己破産の前後にその影響は全くないのですが、これが貰う側であると、話は大きく変わってきます。

まず、自己破産をする前の養育費については、一定の金額以上であると、資産として取り上げられることになります。

しかし、自由財産の拡張という手続きをすると、その養育費の保有が例外として認められることがあります。

これは、裁判所が資産として取り上げることにより、その人の経済的生活を立て直すことが難しくなると判断されたときに多くみられます。

自己破産時に養育費を含め20万円以上の貯金があると危ない

自己破産時には、現金では100万円未満、それ以外の資産では20万円以上となる場合は、裁判所に取り上げられてしまいます。

そこに、養育費ももちろん含まれているので、一定以上のお金または資産を所有していると非常に危ないといえます。

そのため、資産よりも上限の高い現金にあらかじめ換金しておくなどの対処法も必要となります。

また自由財産の拡張の手続きを行えば、全ての財産を守れることもあるので、頭に入れておくと良いです。

自己破産手続きの間は養育費は現金管理しておくべき

上記で触れていますが、20万円以上の資産は、それを超える分については、全て取り上げの対象となります。

もし、子供の学費などのために養育費を貯金している場合は、現金で持っていくことをお勧めします。現金は100万円未満まで保有が認められているからです。

養育費も、その他の現金を含め100万円未満であれば、取り上げられることはないので、うまく調整していきたいものですね。

養育費は自己破産しても払い続ける必要がある

このように、養育費は借金とはその性質が全く違うことがわかりました。

養育費は、親権の持たない親としての最低限の義務であり、対象の子どもが成人するまで、その義務が消えることはありません。

それは、自己破産によるものであっても、他の借金は消えても、養育費だけは消えることはないのです。

支払わないというのは簡単ですが、義務は消えませんし、親としての義務を全うすることこそ、自分の子どもにしてあげられる精一杯の愛情ではないのでしょうか?