借金生活から脱却するために自己破産を検討して人もいるのではないかと思いますが、自己破産にどのくらいの期間が必要であるか知っているでしょうか。
自己破産の手続きをすれば、借金問題が自然と解決するのではないかと考えている人は注意が必要ですよ。
自己破産=借金の免除 ではないのです。
自己破産は手続きを始めるまでの準備の期間をはじめ、手続きを始めてからも意外にも期間を要するものなのです。
そこで、自己破産の免責決定までに必要な期間を説明して、自己破産の免責決定までの流れについても詳しく紹介いたします。
- 免責決定までの期間は半年〜1年程度かかる
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自己破産の免責決定までの期間は手続きによって変わる
自己破産を考えている人にとって、気になるのは免責決定までにどれくらいかかるのか、ということではないでしょうか。
借金生活から離れるためには、一刻も早く自己破産と免責が認められてほしいというのが本音ですよね。
ただ、自己破産の免責決定までの期間は手続きによって変わるため、どのくらいの期間が必要とは一概には言えません。なぜなら、借金額や財産の状況によって準備する期間も変わるからです。また、裁判所によっても期間が一定ではないため、どのくらいの期間があれば免責決定するとは言えないのです。
でも、自己破産の手続きに関する内容が分かれば、だいたいの免責決定までの期間がわかるので詳しく説明していきます。
自己破産の免責決定までの期間
自己破産の免責決定までにかかる期間を知るには、まず自己破産の手続きについて詳細に把握することが重要です。大きく分けて自己破産には、2つの手続きの方法があります。まずはそれぞれの手続きがどのような方法なのか解説し、免責決定までにかかる期間がどのくらいなのか見てみましょう。
管財事件の場合
管財事件とは
自己破産をする人にお金を貸与した人の代表ともなる管財人が選ばれるのが、自己破産の管財事件となっています。管財事件となるのは、20万円以上の財産がある場合です。
管財事件ではすべての財産が調査されたうえで処分され、債権者に配当などが行われるため手続きにも時間がかかることになります。
管財事件で免責決定までの期間
免責決定まで管財事件では、およそ1年の期間が必要とされています。前述のように、管財事件では財産の状況を把握したり調査する期間に加え、財産を処分して債権者に配当する期間も必要だからです。
破産を申し立てするまでの期間もある程度必要なので、免責決定まで1年かかるケースも決して珍しくはありません。
同時廃止の場合
同時廃止とは
20万円以下の財産しか保有していないときには、同時廃止が選択されます。同時廃止は管財事件と異なり、財産に関わる手続きが不要であるため管財人が不要です。そのため、同時廃止では管財人に支払うべき報酬も必要ありません。
同時廃止では財産もないため配当する期間が不要なので、自己破産の手続きが開始したら同時に終わらせることが可能になります。
同時廃止で免責決定までの期間
同時廃止は管財事件と違い、管財人を立てて財産の調査や処分を行う期間が必要ありません。そのため、管財事件に比べると免責決定までにかかる期間は短縮できます。
ただ、準備から破産申し立てまでの期間は同じく必要なため、免責決定までに必要な期間としては約6ヶ月ほどだと言えます。
自己破産の免責決定までの流れ
自己破産の免責決定までに必要な期間が分かったので、続いては実際にどのような流れで自己破産の免責決定が行われていくのかを詳しく説明します。
管財事件の場合
弁護士など専門家への相談と情報収集
自己破産の手続きを進めていくには、まずは専門家との相談が必須です。相談すると同時に、専門家から債務者自身に対する情報の収集が行われます。依頼を受けて結果的に債務者が不利益を被らないために、代理人としてしっかりと情報収集を行う必要があるのです。
正式な依頼
専門家への相談で自己破産の手続きや内容に納得ができたら、ここで正式に専門家に依頼して自己破産の手続きが開始されます。
債権者に受任通知を送る
専門家に依頼すると、まず専門家は受任通知を債権者に送るところから始めます。受任通知とは、自己破産の依頼があったことを債権者に通知するもので、自己破産の予定があることを債権者に伝えるために行われるものです。
自己破産申し立て
自己破産の手続きをするためには、裁判所に対して自己破産の申し立てを行います。弁護士などに作成してもらった申し立て書類とともに、その他必要書類がすべて揃えば裁判所への提出が行われることになります。
破産手続開始決定
裁判所では提出された申し立て書類と、必要書類の内容が確認されます。書類に不備があれば、再提出を行ったうえで支払い不能であることを裁判所が判断すれば、破産手続き開始の決定となります。
破産管財人の選任
管財事件の場合は、管財人を立てることが必須条件です。通常、破産申し立てを行った時に、同時に破産管財人の選任が行われます。
財産および負債の原因調査
管財人が決まれば、財産の状況確認や負債の原因調査が始まります。ここで、債権者の数や借金額なども把握されることになります。
債権者集会
債権者集会とは、管財人を始め裁判官、そして破産をする本人などが集まる会のことです。債権者集会では財産や借金の状況についての説明が行われます。債権者集会の日は、破産手続き開始が決定したときに決められるのが通常です。
異時廃止あるいは配当手続き
債権者集会が行われた際に、財産の状況説明があます。配当が決まっている場合は配当手続きが行われるのですが、調査の結果、配当する財産がないということになれば異時廃止となり終了です。
免責決定
配当手続きが終了もしくは異時廃止となった場合は、裁判所より免責許可が下り、ようやく自己破産による支払い義務が免除されます。
同時廃止の場合
弁護士など専門家への相談と情報収集
同時廃止でも管財事件でも、最初は弁護士など専門家への相談から始まります。また、同時に債務者の情報収集が行われ、自己破産以外の選択肢についても説明がなされます。
正式な依頼
専門家への相談により自己破産への手続きに同意すれば、正式な依頼をして手続きに進むことになります。
債権者に受任通知を送る
専門家に依頼をすれば、すぐに債権者に受任通知が送られます。受任通知については前述したとおりで、債権者に対して自己破産の予定があることを告げるために出されるものです。
自己破産申し立て
自己破産の手続きを始めるには、まず自己破産の申し立てを裁判所に対して行うことになります。専門家によって作成された申し立て書と、予め準備しておいた必要書類を裁判所に提出します。
破産手続開始決定
提出された書類等を裁判所が確認し、支払い能力がないと判断された場合には、破産手続開始決定となります。ただし、書類不備により再提出を求められる可能性もゼロではありません。
同時廃止決定
同時廃止による自己破産は、配分するための財産がなく管財人が不要です。財産を調査及び処分することがないため、同時廃止が決定となります。
免責決定
同時廃止が決定すれば、負債の原因に大きな問題がない限り、免責が認められます。
自己破産で免責決定までの期間を早めるためにできること
自己破産は免責決定までに多くの段階を踏み、長い期間必要なことがわかりましたね。では、少しでも早く免責決定までの期間を早めるにはどうすればいいのでしょうか。
即日面接
条件はありますが、即日面接という制度を利用すれば自己破産の免責決定までの期間を短縮することができます。即日面接というのは、申し立てから3日以内に弁護士と裁判官が面接を行って、スムーズに手続きを進める方法です。
即日面接制度を利用できるのは、東京地裁裁判所であることと申し立て書類を弁護士が作成していることが条件となっています。
手続きに必要な書類を正確かつ素早く集める
自己破産の手続きには、借金の情報など必要な書類が幾つもあります。その書類がなければ手続きができませんし、書類の不備によって、免責決定までの期間が長引く可能性もあるのです。
自己破産の手続きを行うために必要な書類があるので、専門家に相談するときに集めておくといいでしょう。正確に素早く書類を集めることが、免責決定の期間を短縮する方法と言えます。
手続きに必要な書類一覧
- 給与・賞与明細
- 源泉徴収票
- 課税(非課税)証明書
- 確定申告書(自営業もしくは固定資産税を支払っている場合)
- 所有するすべての銀行口座の利用明細(通帳等)
- 加入している保険証
- 自動車についての車検証や購入証明書(保有している場合)
- 不動産の登記簿謄本等(保有している場合)
- 賃貸借契約書(賃貸住まいの場合)
- 公共料金の明細書(水道料金等)
- 家計簿(家計明細書)
- その他財産となり得る・投資している資料
主に上記のような書類が必要になりますが、手続きによって必要となる書類は変わってきます。
収入や支出を示す資料は必ず必要になるので、予め準備しておいたほうがいいでしょう。
特に家計簿などは普段から記載していないと、いざというときに準備ができません。
自己破産手続きは弁護士と司法書士どちらが良いのか
借金問題の相談をする専門家には、弁護士と司法書士という選択肢があります。自己破産の手続きをするためには、弁護士と司法書士とどちらのほうがいいのでしょうか。詳しく見てみましょう。
弁護士
弁護士は法律問題に対して、制限なく関わることができます。法律の問題を解決するのが本来の業務なので、自己破産に関してもトータルにサポートしてもらうことが可能です。
司法書士
司法書士は、もともと登記や供託を行うのが主な仕事です。
法務省より認定が受けた認定司法書士に限り、簡易訴訟代理等の業務を行うことができます。
法務省より認定は受けていますが、司法書士には40万円以下の民事訴訟の和解など、業務の範囲には法律上制約があります。
弁護士の方がスムーズに終わる可能性は高い
弁護士も司法書士も、自己破産手続きをしてもらえるという点では同じです。
しかし、司法書士には法律上の制約もあり、請け負える範囲も限られています。
その点、弁護士は法律問題の解決には制限がなく、即日面接のような制度を利用することも可能です。
そういう意味でも、弁護士のほうがスムーズに手続きを終えることができるかもしれません。
自己破産手続きに掛かる費用
自己破産の手続きをすることになったら、専門家に対して着手金や報酬を支払う必要があります。自己破産の手続きには、どのくらいの費用がかかるのか気になりますよね。2つの自己破産の方法別に、手続きにかかる費用を紹介します。
同時廃止の場合
自己破産の同時廃止の手続きの場合にかかる費用は、約30万円ほどです。もちろん、弁護士事務所や司法書士事務所によって多少の費用の違いはありますが、30万円ぐらいが相場と考えていいでしょう。
弁護士事務所などによっては、成功報酬としてさらに20万円ほどかかるところもあります。
管財事件の場合
管財事件の場合は、自己破産手続きの費用に加え、管財人への報酬などの支払いも必要です。約30万円ほどの手続き費用以外にプラスして20万円~50万円の費用がかかってきます。
免責決定までの期間がネックなら金額次第では任意整理も
自己破産の免責決定までの期間は、最低でも約半年です。免責決定までの期間が長いと感じるなら、別の方法を検討してみるのもいいかもしれませんね。借金の金額にもよりますが、任意整理のほうが手続きまでの期間を短縮させることができます。
任意整理とは
自己破産は免責決定すれば、今ある借金の全額を支払う必要がなくなります。多少デメリットがあっても、借金が全額なくなるのが大きなメリットです。
一方、任意整理は借金をなしにするのではなく、利息をカットしたり借金額を減額することで、支払うべき借金を減らす手続きになっています。
任意整理に掛かる期間
任意整理は、手続きするために裁判所を通す必要がないため、自己破産より早い期間で終了できます。弁護士などが直接債権者と交渉して和解することが目標なので、スムーズに進めば3ヶ月程度で終了することも可能です。
任意整理に掛かる費用
任意整理をするためには、着手金と成功報酬の2回に渡って費用を支払うのが一般的です。弁護士事務所や司法書士事務所によって費用は異なりますが、概ね着手金として4~5万円、成功報酬として減額された借金額の10~20%としているところが多いようです。
自己破産の免責決定までの期間は早くても半年は掛かる
自己破産の免責決定までの期間について詳しく解説しました。自己破産の免責決定にかかる期間は、早くても半年ということです。裁判所を通して行う自己破産は、準備までにも手続きをしてからも、期間を要するものです。
どうしても借金の返済の目途が立たない場合は、自己破産を視野に入れるかと思いますが、免責決定までには多くの書類が必要なことと期間がかかるということは覚えておきましょう。