奨学金の返済が厳しいときに猶予をもらう方法【手続きを解説】

高校や大学に進学する際には、奨学金の返済のことなんて、少しも考えていなかったと思います。しかし、実際に社会人になると毎月奨学金の返済に追われることになり、状況によってはその返済が辛くなるときもあるはずです。

そういった場合には返還猶予という方法があり、返済の猶予をもらうことができるそうです。今回は、奨学金の返済が厳しいときに猶予をもらう方法について、詳しく解説していきたいと思います。

日本学生支援機構の奨学金には返済猶予がある

昨今、大学進学が当たり前となりつつあるこのご時世において、奨学金という存在は学生にとって救いの制度です。しかし、この奨学金は一部を除いて返済しなければならないもので、社会人となったときには、この奨学金の返済に追われる日々が待っています。

おおよそ、10年以上も返済し続けていくことが果たして本当にできるのでしょうか?そんな中、日本学生支援機構の奨学金には、返済猶予というものが存在しており、この制度をうまく活用することで、無理なく奨学金の返済が可能になります。

奨学金の返済猶予制度について

 

日本学生支援機構は、奨学金の返済に困った人のために、返済猶予制度というものを設けています。

この制度によって、全ての奨学金利用者は、無理のない返済をすることができ、余裕のある生活を実現することができます。

以下について、それぞれ解説していきます。

正式名称は返還期限猶予制度

日本学生支援機構が支援した奨学金の返済猶予について、正式名称は返還期限猶予制度といいます。この返還期限猶予制度には、大きく分けて2つのケースがあります。

まずは、一般猶予と呼べれるもので、これにより返済を先延ばしにすることができます。もう1つは、猶予年限特例又は所得連動返還型無利子奨学金の返還期限猶予というもので、場合によっては返済する必要がなくなります。

猶予が与えられる最長年数は原則10年

一般猶予によって、猶予が与えられる最長年数は原則10年とされています。年度ごとの申請が必要になり、一回の申請で12ヶ月適用されることになり、その都度申請しなければなりません。

また誰でも申請できるというものではなく、それまでの返済に滞納がないことや、給与所得などが一定額以下などの条件に合致している必要があります。

猶予制度を使っても奨学金の返済総額は増えない

奨学金は借金のようであって、借金とは性質が異なることから、仮に猶予制度を利用しても借金が増額するということはありません。あくまでも、返済できない人のために返済に猶予を与えることが目的であり、借金のように利息や遅延損害金などの発生はありません。

単純に返済だけを待ってもらえる制度なので、奨学金利用者にとっては、非常に有難いものですね。

例外的に奨学金返済猶予が延びる場合

裁判になる可能性

奨学金返済猶予は決められた年数でありますが、いくつか例外的な理由により、その返済猶予が延びることがあります。なので、それらの理由に該当するのであれば、早急に手続きしてしまうことが望ましいですね。

以下について、それぞれ解説していきます。

傷病・産休・育休・生活保護受給中の場合

労働ができないほどの傷病によるものであれば、当然収入がないので、この場合例外的な理由に該当します。また、産休や育休などであれば、収入がないことになりますが、国や地方自治体から様々な手当がでます。

こうした手当も収入として加算されるのではと思うかもしれませんが、これらは収入に該当することはありません。あとは、最低限の生活もままならないということで、生活保護受給者も同様に返済猶予が延びることになります。

災害に見舞われた場合

災害に合った場合も例外的な理由になりますが、あくまでも災害によって返済が困難になった人が対象となります。この場合、一つの災害によって返済猶予できる期間は最長で5年が限度となっています。

また、災害によって日常生活もままならないような状態であれば、一定年数以上経過していても、遡って申請することができます。

在学中・海外留学中の場合

大学院などに進学し未だに在学中である場合は、返済する能力がないので例外的な理由に該当します。また海外留学中も同様になり、それぞれ一度の申請で修了まで効力を発揮することになります。

いずれも、社会人ではなく学生の身分であるので、返済猶予は妥当なところですね。

猶予年限特例・所得連動型無利子奨学金に採用された場合

猶予年限特例・所得連動型無利子奨学金という制度は、卒業後に一定額以上の収入が見込まれるまで、返済猶予とされるものです。この場合期間の制限がなく、決められた一定額以上の収入を有するまで、返済する必要がないということになります。

ただし、採用されなければいけないので、日本学生支援機構に、それぞれ必要書類を提出する必要があります。

奨学金の返還期限猶予制度の注意点

するべきこと

奨学金の返済期限猶予制度を利用するためには、いくつか注意点があります。これらの注意点をしっかり頭に入れておくことが必要になります。

以下について、それぞれ解説していきます。

猶予してもらうにはマイナンバー提出が必要になった

昔と違い、現代ではマイナンバーの提出が必要になりました。国ではこのマイナンバーをもって、国民それぞれのサービスを管理をしていくという方針ですから、この先において、所得詐称などの悪事はできなくなります。

また、マイナンバーの提出は一度すればよく、それ以外の必要書類を不要とすることができます。

返還期限が延びるだけで元金や利子の総額は減らない

借金の債務整理のようなものとは違い、返済猶予はあくまでも返済期限が延びていくだけです。なので、利子がつくこともなければ、元金が減ることもありません。

ただ、現時点での返済をしないということで、将来的には返済しなければならなくなるということを頭に入れておく必要があります。

猶予が認められるまで督促は続く

申請をしても、実際に返済猶予が認められるまでには、一定の期間を要することになります。その間は、返済猶予が認められていないので、日本学生支援機構からの奨学金の督促は続いていきます。

こうした点をしっかりと理解した上で、返済猶予の手続きを進めていきたいですね。

奨学金の返還期限猶予制度の申請方法

一定の基準を満たした人が申請できる返還期限猶予制度ですが、どのような手順をもって申請するのでしょうか?必要な書類の記入・提出をもって、審査に入り、実際に通知されるまでの流れをまとめました。

以下について、それぞれ解説していきます。

(1)必要な書類

まず、返還期限猶予制度に必要な書類を集める必要があります。奨学金返還期限猶予願、チェックシート、マイナンバーが必須になるので、直接書類を請求するか、ネットでダウンロードすることもできます。

また、奨学金返還期限猶予願には、願出に至った理由が必要になり、その証明書を添付しなければなりません。

(2)猶予申請の期限

猶予申請の期限については、延滞している人はなるべく早急な提出が求められます。延滞がない人は、実際に猶予開始を希望する月の3ヶ月前と定められていますので、早くも遅くもないようにしたいですね。

申請の期限をきちんと守らなければ、返還猶予を認めてもらうことは難しいです。

(3)猶予の審査

必要書類をまとめ、それらを日本学生支援機構に提出すれば、いよいよ審査に入ります。この審査中は、奨学金の督促が止まるわけはないので、注意してください。

審査にかかる期間も、その時期によって変動するので、とりあえず気長に待つことです。

(4)通知

審査が終わった段階で、奨学金返還期限猶予承認通知というものが、各申込者に送付されることになります。この通知書をもって、返還猶予が認められたことになり、仮に認められなかった場合にも、通知書は届きます。

その場合は、通常の方法をもって奨学金の返還をしていくことになります。

延滞中でも奨学金の返還期限猶予制度は利用可能

可能奨学金が返済していけなくなった場合、当然返済は滞ってしまいますが、延滞中においても、返還期限猶予制度を利用することは可能です。もちろん、それに見合った理由が必要になりますが、理由によっては、例外的な理由として認められることもあります。

なので、放置することだけは絶対にやってはいけないことで、借金と同様に、利用者にとって不利益しか生まれないからです。自分が返還期限猶予制度を利用できるかどうか、まずは確認してみることが必要ですね。

奨学金には減額返還制度もある

生活費

奨学金には、返済猶予があることを伝えてきましたが、実は減額返還制度というものも存在します。文字通り、奨学金が減額になる制度で、ある一定の条件を満たすことで、それが可能となります。

減額返還制度とは

減額返還制度とは、様々な理由によって、返済が困難であり、減額によってその返済ができる人が対象となります。その様々な理由とは、病気や災害など、その理由は多岐にわたります。

毎月の返済額を減額されるため、利用者は無理なく返済することが可能となります。

1回の申請で最長15年まで延長できる

申請については、1回の申請で12ヶ月適用され、最長で15年まで延長することができます。この減額返還制度は、度々仕様が変わっているので、実際に自分の目で確認してみることが必要ですね。

最近ではマイナンバーの提出が義務付けられており、申込用紙の仕様も変わったようです。

奨学金の返済がきついときは返還期限猶予制度を利用しよう

多くの人が、進学時に奨学金を借りていると思いますが、その返済に手こずった経験のある人も多いはずです。

ただ、自分勝手な理由により勝手に生活が困窮して、返済できないという理由は論外ですが、返済できないことに正当な理由がある場合は、返還期限猶予制度を利用したいですね。

この制度によって、返還猶予が与えられるので、自身の生活を苦しませず、なおかつ余裕のできた時期に再び返済することができます。

将来のための進学で借りたお金によって、将来的に生活に困窮してしまっては、本末転倒ですので、奨学金の返済に悩んでいる人は一度相談してみてはいかがでしょうか?