債権者(貸主)が死亡・倒産したら借金は帳消しになるの?

借金を返済中に貸主が亡くなったり、会社法人が倒産したりすれば、借金が帳消しになると考えていませんか?いいえ、そんな場合でも借金は無くならないんです!何で返済義務が残るのか、気になってしまいますよね。

今回は完済前に貸主が死亡、会社が倒産したときの手続きや対処法について、まるごと解説していきます。

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債権者(貸主)が死亡・倒産しても借金は帳消しにならない

連帯保証人になってはいけない

借金の返済中に貸主が亡くなったり、会社が倒産したりしたからといって、基本的に借金が帳消しになることはありません。

個人間の借金は、財産の一つとして相続されます。正確に言うと、貸主は貸したお金の返済を求める「貸金返還請求権」を持っていて、これが本人が亡くなった際に相続されて、相続人が返済を求めることができるのです。

金融機関が倒産することはめったにありませんが、資産整理の過程で貸金返還請求権は他の金融機関に移譲されます。

個人の債権者(貸主)が死亡すると借金の請求権は相続される

借金の返済中に貸主が亡くなったら、どうすればいいのでしょうか?貸主が亡くなっても借金を完済する必要がありますが、この時の対処法によっては、返済が難しくなるケースもあります。

貸主が亡くなった時に債務者がすべきことを、順に追って解説していきましょう。

借金返済前に戸籍謄本などで相続人を正確に知る必要がある

貸主が亡くなったと相続人から連絡が来たら、すぐに返済に応じるのは早計です。相手にお願いして戸籍謄本などの公的文書を提示してもらい、債権者の資格を確認しましょう。正統な相続人に対してでないと、返済をしたことになりません。

相続人がいても相続問題でもめているケースや、複数人で分割相続していることもあります。後々のトラブルを防ぐためにも、法定相続人が誰であるのかを正確に知ってから対応してください。

相続人が複数いる場合は纏めて相続してほしい旨を伝えた方が無難

亡くなった貸主の相続人が何人かいる場合は、借金をまとめて代表者1人に対して返済したいとお願いしてみましょう。複数人で借金を相続している場合は相続割合に従ってそれぞれに返済をする必要がありますが、これは面倒で不便なもの。

全員に返さないと完済とならないため、返済期間も長引きかねません。分割相続をしている場合は借金をまとめて、代表者に返済するのがベストです。

相続人が不明の場合は弁済委託をする

相続人がいない、もしくは返済の連絡をしてこないからといって、無視して返済をしないのはいけません。後になって相続人が現れた場合、滞納していたということで膨大な利息分や遅延損害金の返済を求められるリスクがあります。

亡くなった貸主の相続人が分からない場合は、供託所に残った借金の弁済委託をしましょう。これを行っておけば、法的にきちんと債務の履行をしていると認められます。

借金の弁済委託について

について

「供託」とは、財産を国家機関にゆだねて管理を任せ、債務の弁済や裁判上の保証などを受ける制度です。亡くなった貸主の相続人が分からないときの借金の返済にも活用できますが、弁済供託について詳しく知らない人も多いですよね。

ここでは弁済供託の方法や、メリットについて解説していきましょう。

借金を弁済委託する方法

弁済供託の供託所は、自分の住所地を管轄する法務局や法務支局です。貸主が亡くなって相続人が不明であるとわかったら、早めに法務局に出向いて供託書を提出して、手続きをしましょう。本人の委任状があれば、代理人でも手続きができます。

供託金の納付方法は、供託書の窓口で現金で支払うか、指定の銀行などの金融機関で支払います。電子納付もできるため、利便は悪くありません。

弁済委託することで借金は返済したと見なされる

残っていた借金を一括して弁済供託すれば、債務は消滅します。一括して返済できないなら亡くなった貸主と取り交わしていた契約に基づいて分割で支払っていけば、返済義務を履行しているものとみなされるので安心です。

相続人が明らかになって返済を求められても、直接本人に返済する必要はありません。相続人が供託所に還付申請をして、供託した返済金を受けとることになります。

債権者の死亡後は相続債権者がどのようにして決まるか

何か

相続人の身分を確認するためにも、相続債権者がどのようにして決まるのかも理解しておきましょう。

亡くなった貸主の債権を相続する権利があるのは、基本的に親族です。その中にも優先順位があり、まず亡くなった貸主の配偶者が優先され、その次に子もしくは孫、次に父母や祖父母、その次に兄弟姉妹と続きます。

複数の相続人がいる場合、遺言書があれば亡くなった人の意志に基づいて遺産が分割されますが、遺言書がなくて遺産分割協議を行うケースも多いもの。なかなか相続人が決まらない場合は、弁済供託をした方が無難です。

相続債権者が相続放棄した場合は借金が帳消しになる

ポイント

ちなみに、亡くなった貸主の相続人が家庭裁判所に申してて遺産の相続放棄をした場合は、あなたの借金はチャラになります。完全に借金から解放されるのはありがたいことですが、しっかりと見極める必要がありますよ。

相続債権者が相続放棄をするケースや、対応の注意点も理解しておきましょう。

相続放棄によって借金の請求権も消失する

相続人が借金の貸金返還請求権を放棄するケースとしては、亡くなった貸主に他人に貸していた以上の借金があるケースが想定されます。遺産には本人名義の銀行預金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナス財産もあって、どちらも相続人に受け継がれます。

亡くなった人に多額の借金がある場合、相続人が相続放棄をすることはよくあること。この場合はプラスの遺産も放棄することになり、借金の請求権も消滅します。

相続債権者候補が複数いた場合はその中の誰かが借金の請求をしてくるかも

ただし亡くなった貸主の家族から「私は相続放棄したから」と聞いても、安心はできません。相続人が複数いれば請求権は個別にあり、その中の一人が相続放棄をせずに返済を求めてくるかもしれません。

相続人が複数いる場合に優先順位が高い人が相続放棄をすると、貸金返還請求権は下の順位にどんどんシフトしていきます。その過程で相続人が出てくるケースもあるため、念のため弁済供託しておくと安心です。

債権者(貸主)が法人で倒産した場合も借金は帳消しにならない

個人間の借金で貸主が亡くなった時だけでなく、貸主が法人の借金は会社が倒産しても帳消しになることはありません。たとえ会社が消滅しても、借金は残るんです。

法人が倒産する場合の手続きの流れを解説していきましょう。

民事再生・私的整理・会社更生の場合会社は消滅せず借金は帳消しにならない

会社が倒産する時、資産を整理して債権者に分配する必要があります。その過程で会社が持っている貸金返還請求権を移譲するわけですが、倒産にもいくつかの方法があるので注意して。

裁判所が外で行われる私的整理の場合の場合同様に、裁判所が承認した再生計画案で弁済をする民事再生や、更生管財人を介して弁済する会社更生の場合は会社が消滅せず、借金の返済を求める権利はそのまま残ります。

特別清算・破産の場合会社は消滅するが借金の返済義務は残る

同じ会社の倒産でも、裁判所が選任する破産管財人を介して会社資産の弁済をする場合や、特別清算人が策定する協定案に従って弁済する特別清算の場合は、法人格が残りません。

法人が消滅する前に、会社が所有していた資産ともども借金の貸金返還請求権は債権回収ができるほかの金融機関に移譲されるのがほとんど。この場合は新たな債権者から、改めて督促が来るようになります。

法人の債権者(貸主)が倒産した場合、債務者側が取るべき行動

貸主である会社が倒産した場合は、借金が帳消しになることはありません。個人間の借金をしていて貸主が亡くなったのと同様に返済を続けていく必要がありますが、倒産の種類によって対応が変わってきます。

官報でお金を借りている会社の倒産を知ったら、次の2通りの方法で返済を続けましょう。

私的整理など返済に影響が出ない手続きの場合

会社の倒産は大事ですが、私的整理は会社の債権者に大きな影響を与えないよう、事業価値をできるだけ損ねない形で更生を計ることを目的にした制度。そのため法人格は消滅せず、金融事業も継続します。

私的整理の場合は返済の相手方や金利など、返済方法は変わりません。当初の契約のまま、継続して会社に対して借金を返済していきましょう。

会社更生や破産の場合

会社更生の場合は私的整理と同様に法人格が消滅しないものの、これは法人が存続して弁済をするためのこと。会社の資産を全て清算する破産手続きと同様に、貸金返還請求権は他の債権を回収できる法人に移譲されます。

借金などの貸金返還請求権を譲渡する場合、基本的に債務者の同意は必要ありません。ある日突然新法人から内容証明郵便が送られてきて移譲を知るケースが多いため、知らない金融機関からの通知を無視するのは禁物です。

債権者(貸主)の死亡・倒産で困ったら専門家に相談するのも手

見直そう

貸主個人が亡くなってしまった場合や、お金を借りていた会社が返済途中に倒産したとき、相手から一括返済を求められることも想定されます。返済に困る場合は、弁護士や司法書士などのプロの助けを借りましょう。

貸主の死亡や倒産で困った時に頼りになるのは、次の3つの事務所です。

東京ロータス法律事務所

東京ロータス法律事務所は全国対応で債務整理の相談に対応している法律事務所として知られていますが、借金問題全般に強いのが魅力。債務整理や過払い金請求以外の様々な法的問題に対応しているため、貸主の相続や倒産の対応に困った時でも親切に相談にのってもらえます。

弁護士の経験も豊富で、個々の事情に応じたアドバイスが可能。相談料はかかりますが、電話相談であれば通話料もかかりません。メールでの相談も受け付けているため、気軽に悩みを相談できますよ。

アヴァンス法律事務所

アヴァンス法律事務所はテレビなどでCMを流している、知名度の高い事務所として知られています。特に債務整理の実績が高く、過払い金請求から時効の援用、個人再生まで幅広い借金トラブルの法律相談に対応しているため、安心して相談できますよ。

アヴァンス法律事務所も全国どこからかけても通話料無料の電話相談に対応していて、土日休日を問わずメールでも相談が可能です。スタッフがすべて女性による女性専用窓口、「アヴァンスレディース」もあるため、借金に悩む女性は一度相談をしてみるといいでしょう。

東京ミネルヴァ法律事務所

東京ミネルヴァ法律事務所は東京を拠点としていますが、債務整理などの借金関連の法律相談にも実績が高い事務所です。もともとはB型肝炎訴訟の相談で有名ですが、離婚時のトラブルや交通事故の賠償訴訟など幅広いニーズに対応しているため、貸主の倒産に関しても適切なアドバイスがもらえますよ。

事務所に出向いての本格的な相談の場合は1時間あたり10,000円の費用がかかりますが、フリーダイヤルの匿名相談も受け付けています。24時間対応なので、仕事などで忙しい人にもおすすめです。

債権者(貸主)が死亡・倒産したからと安心してはいけない

お金を借りていた貸主が亡くなったから、会社が倒産したからといって、「もう借金を返さなくてもいい!」と軽く考えてはいけません。借金は返さなくてはいけないお金です。

相手がいなくなったことに安心して返済を滞らせていると、利息や遅延損害金を含めた膨大な返済を迫られるリスクがあります。不安な場合は専門家にも相談して、誠実に対応しましょう。