借金を確実に返済してもらうには契約(借用)書があった方が良い?

金銭の貸し借りをする際に、金額や返済日までついついその場で口頭のみの約束としてしまうことも多くあります。けれどもそのままでお金を貸してしまっては、あなたの財産の一部が非常に危険な状態にさらされてしまう事になるのです。

契約(借用)書があればそれを証拠に借金返済を求められる

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結論からお話をすると、借金を確実に返してもらうためには契約書(借用書)が必須と言えます。その理由としては以下の2つです。

お金の貸し借りを事実として残した証拠となる

お金の貸し借りの契約は、例え書面に残さない口約束だったとしても原則有効ではあります。しかし万が一債務者が借り入れ契約に関して事実と違う申し立てを行ってきた際には、なんの記録も残っていなければ上手に抗弁が出来ません。

しかし借用書があれば貸し借りを事実として残した証拠となり、有効な抗弁が出来るのです。

貸した借りてないの水掛け論を避けられる

口頭での契約は有効ではありますが、そのままでは後になって「借りた」「借りてない」の水掛け論ともなりかねません。借用書を残すことで水掛け論を避ければ、不要なトラブルに発展することも防げるのです。

借金返済追及に有効な契約(借用)書に含めるべき項目

借金返済を効果的に相手に迫るためには、ポイントを押さえた借用書を作ることが必要です。ここでは有効な借用書を作るために含めるべき項目を共有します。

契約(借用)書の作成日

原則として、実際に金銭の授受があった日を借用書として記入します。お金を渡す際には証拠が残るように、出来る限り銀行振り込み等の記録が残る方法とるようにしましょう。和暦・西暦どちらでも問題はありませんが、一般的には和暦が多く用いられます。

貸主の氏名

お金を貸した側である貸主の氏名の記載も借用書には欠かせません。借用書の偽造を防いで契約の信頼性を確保するために、原則手書きで氏名を書き込みます。

題名

何のための契約書類であるかを明確に主張するため、「借用書」等のタイトルを盛り込むことも大切です。題名の有無による法律的な効果の違いはあまりありませんが、「どういう趣旨の契約か勘違いしていた」等相手方が後に言い逃れをすることを避けるためにも、題名は盛り込んでおきましょう。

借金の金額

具体的にいくらの金額の授受があったのかを明らかにするため、借金の金額は必ず盛り込む必要があります。またその際には後で金額を改ざんされることを防ぐため、アラビア数字(1,2,3…の表記)や通常の漢数字(一、二、三…の表記)ではなく、改ざんしにくい「大字」(壱、弐、参…の表記)を使うようにしましょう。

借主が借金した事実

お金の貸し借りを約束するということは、法律的に整理すると金銭消費賃貸契約を結ぶということになります。民法上の金銭消費賃貸契約を成立させるためには「金銭を授受したこと」と「返還の合意をしたこと」の2つが必要となるため、借金をした事実を明確に残すことが必要なのです。

借主が借金した日付

金銭を授受した日付も借用書には盛り込む必要があります。和暦・西暦どちらでも問題はありませんが、先ほどお話しした作成日と合わせるようにしましょう。

借金の返済期日とその方法

借用書には、「いつまでに返すか」を明記することが必要不可欠です。返済期限を決めていない契約を結んでも、返済してほしいと貸主が意思表示をしたところですぐに返済する義務が借主に発生しなくなるのです。

返済期限は勘違い等のトラブルを避けるため、通常では「〇〇年〇月〇日迄」と日付で明記します。また、トラブルを避けるため返済方法についても明確に記載するようにしましょう。

借主の住所と氏名と押印

借主の住所・氏名・押印を、基本的には借用書の文末に盛り込みます。貸主の署名の時と同様、偽造を防いで借用書の信頼性を確保するために自筆で住所氏名を書き込みます。印鑑は認印でも基本的に問題ありませんが、より確実にしたい場合は実印と印鑑証明を用意すると良いでしょう。

(必要な場合)収入印紙

保険証券や不動産売買の契約書等の課税文書の場合では、金額に応じた収入印紙を貼る必要があります。金銭消費賃貸契約の場合も、1万円以上の貸し借りであれば金額に応じた収入印紙を添付しなくてはならないのです。

契約(借用)書は公正証書にするとより確実に借金を回収できる

私的に借用書を結んだだけで、本当に相手が返済に応じるのだろうかと不安になる方も多くいます。契約書を作ると言ってもプライべートで個人間のやり取りではあるため、心配が残るのも当然と言えるでしょう。

そうした場合、借用書は公正証書の形で作成すると、その効力が一層増し、より確実に借金を回収することができる様になります。

公正証書は証明力と執行力を有しており、安全性や信頼性に優れている

公正証書とは、弁護士や検察官など長年法律実務を経験した者が公証人となって公証役場で作成する公文書のことを言います。公正証書にすると公証人の証明を受けた様な形になるため安全性や信頼性が増し、いざという時の証明力や執行力が付くのです。

公証人は法律の専門家であるため、改ざんや破棄の恐れもなくなるのも大きなメリットと言えるでしょう。

借金の契約(借用)書を作った後の注意点

金銭の貸し借りのトラブルを避けるには必須ともいえる借用書ですが、作成後には注意すべき点もあるのです。大きく2つに分けて説明いたします。

返済期日が来た場合はこちらから督促する

借用書を作成したからと言っても、返済期日までに借主が確実に返済してくれるとは限りません。返済期限が近付いたら必ず貸主の方からその旨の通知を行い、請求や催促の行動を取るようにしましょう。督促を行った際に借主から期限までに返せないとの返答を受けた場合には、「いつ返せるのか」「いくらなら返せるのか」と言ったことを明確に返答するよう求めましょう。

契約書があるからと脅す真似をしてはいけない

督促・催促をする時に必ず守らなくてはならないのが、こちらの請求活動が決して脅しになってはいけないということです。貸したお金を返さないということは、確かに民法上の不法行為ではあります。

だからといって電話や直接訪問の際に声を荒げてしまったり、乱暴な言葉や暴力的な行為で相手を脅すような行為をすれば逆にこちらが警察に通報されてしまう事もあるのです。脅迫行為はもちろん違法であるうえにその後の交渉にも支障をきたす可能性もありますので、決して行ってはいけません。

契約書と誓約書の違い

金銭の貸し借りその他の約束をする際に一般的に契約書同様よく目にするのが、誓約書です。双方は似ていますが正確には全く同じものでは無いため、ここで違いについて整理いたします。

契約書は双方の権利・義務に係る取り決めを行うもの

契約書とは、話し合い等で当事者双方が権利や義務に関し合意したことを文書にしてまとめ、合意した証として双方が署名や捺印を残す書類のことです。

後日契約の内容について万が一争いが起きたり、第三者に対して主張をしなくてはならなくなった時のために証拠として機能してくれるのが、契約書の特徴と言えます。当事者に関しここでは「双方」と言う書き方をしましたが、当事者が3名以上になることもあります。

誓約書は誓約をする側が相手に義務を負うもの

契約者が2人以上の当事者それぞれが合意し署名捺印する書類であるのに対し、誓約書は当事者の内どちらか片方が相手方に対し一方的に負うべき義務などについて誓約をするための書類です。金銭の貸し借りで誓約書を利用するのであれば、借りた側が貸した側に対して一方的に「返済」という義務を負うことを誓約することになるでしょう。

法律上では片方から一方的に義務を負うことを「片務的」などと言います。

契約書があるときの借金返済を迫る方法

ここでは、金銭の貸し借りをする時に契約書をきちんと交わしていた場合の返済督促方法を共有いたします。これから説明する各方法を上手に組み合わせることができれば、督促活動をより効果的できるでしょう。

直接会って督促する

こちらの気持ちが伝えやすいうえに相手の態度や様子が確認できるという点で、直接会う督促方法は非常に効果的です。「ワザワザ会いに来た」という事実が相手に伝わるだけでも、返済へのプレッシャーを強く書けることができます。

また、その場で相手からの要求や提案を確認出来たり、出た要求や相談事に対して臨機応変に対応することができるのも、直接会うことの利点と言えるでしょう。ただし先ほどお話しした通り、現場でヒートアップして声を荒げてしまったり、暴力的な行為に走ってしまわないようにくれぐれも注意する必要があります。

書面で督促する

書面での督促は、こちらから主張したいことを不足なく伝えやすい方法です。「催告状」と言う形で書面を作り、双方の氏名や債務の内容・金額、催促日、支払額、支払期限、支払先口座を盛り込むようにしましょう。

また、主張内容だけでなく主張した事実自体が証拠として残る点でも、書面は有効な手段と言えます。相手へ求めている内容を形に残すことで「勘違いしていた」「知らなかった」などの言い逃れを防ぐことができますし、後日万が一大きな争いとなった場合を想定しても、できるだけ証拠を残すことは重要です。

裁判所を通じて督促する

書面や直接面談での督促を継続して行っても相手が返済に応じない場合、裁判所を通じて第三者に間に入ってもらい、返済の督促を行うのが有効です。裁判所と言うと少し過激だと思う方もいるかもしれませんが、簡易裁判所で行う「民事調停」と言う方法であれば費用も手間も比較的少なくて済みます。調停が成立すれば調停調書と言うものが作成され、裁判をしなくても差押え等の強制執行が可能になるのです。

もっとも、調停は不成立となることもあり、その場合は裁判に移行することも考えなくてはなりません。けれども相手を動かすけん制の意味も含めて、裁判所を通じた手続きも選択肢の一つとして考えておくべきでしょう。

契約書のあるなしで借金返済の難易度は大きく変わってくる

金銭の貸し借りは口約束でも立派な契約になりますが、実際に返済をしてもらうためにはそれだけでは不十分と言わざるを得ません。貸した金額や返済期限があやふやになったり、そもそも金銭を授受した事実までもしらを切られてしまったりと、完全な返済は困難になってしまいます。

お金を他人に貸す時には、返済金額や返済期日等必要な項目を盛り込んだ契約書を取り交わし、返済を求めやすい環境を整えるようにしましょう。契約書を交わすことで言った言わないの水掛け論になってしまう事も減り、不要なトラブルを避けることにもつながるのです。